コーチや選手のために
勝利へつなげる障害予防   〜理論編〜
                                         目次へホーム
発症すると困ること


投球障害肩が発症すると選手は投げるたびに痛みを感じ、思い切り投げられなくなります。チームも弱体化するため、選手にとってもスタッフにとってもつらい思いをすることになります。
野球で最も多い障害は投球障害肩です。(年代によって順位は多少入れ替わります)
第2位は肘障害
第3位は腰障害です。
現在日本では約15万人以上の選手が投球障害肩に苦しんでいると推測されています。

勝利と障害の関係

多くの選手はケガをせずにうまくなりたい、そして勝ちたいと思っています。
チームが強くなり、勝利するためにはチームのみんながケガをせずに思い切り練習できる時間が必要です。ケガをして練習ができなくなる人や時間が増えるとチームは弱体化します。
勝利と障害の関係・・・この関係をおさえることが最も重要です。
要は障害をなくせば、その分勝利に向かって思い切り練習できるということです。
すると勝利に負の要素は
障害発生率と再発率と有病期間ということになります。
少し難しい用語が出てきたので、下の図で考えてみましょう。


今あるチームがあって5人のメンバーがいたとします。(Aさん,Bさん,・・・,Eさん)
Aさんはケガをして6か月練習できず、その後復帰して、また再発して2カ月練習離脱。
Bさんはケガをして5カ月練習できず、その後復帰して、また再発して2カ月練習離脱。
Cさんはケガをして4カ月練習できず、その後復帰して、再発はなし。
Dさん、Eさんはケガをせず、1年間練習にすべて参加。
だったとします。
障害発生率は (A,B,Cさんの3人)÷(5人)x100=60%
再発率は    (A,Bさんの2人 )÷(5人)x100=40%
有病期間は               6+5+4+2+2=19カ月
ということになりますが数式だと分かりにくいのですね。そこで、もう一度上図をみると
水色の面積が障害の部分
黄色の面積が勝利につながる部分
ということになります。
つまりチームの勝利に向かう力は障害が少なくなればなるほど高くなり、
そのためには、障害発生率、再発率、有病期間を減らしていくことが重要です。



障害の発生率や再発率を下げるためには、1次予防が大切です。
健常なうちに障害発生の危険因子をメディカルチェックします。
もし危険因子が存在する場合はあらかじめ予防エクササイズで危険因子を除去することによって障害の発生を抑えることができます。

有病期間を減らすためには2次予防が大切です。
2次予防とは障害の発生を早期に発見して、早期に治療することです。
発見が遅れ、治療が遅れると障害はどんどん進行し、有病期間は長くなり、復帰が遅くなるため、練習時間は少なくなります。

チームを勝利に導くためには、こうした障害の1次予防と2次予防が重要になります。


具体的は




具体的は
メディカルチェックセルフチェックが重要です。
まず無症状のときはメディカルチェックを行い、あなたがどんな危険因子を持っているかを確認しましょう。
もし危険因子をもっていても、いまのうちに是正しておけば発症しにくい体を作ることができます。
投球障害肩の発症に特に重要な危険因子は
@ 投球数(ポジション)
A 投球障害肩の既往歴
B 肩甲骨のうごき
C 下肢の柔軟性
です。
なので 投手や捕手、いままで肩の痛みを経験したことがある人は非常に発症しやすいので注意しましょう。
今のうちから、肩甲骨エクササイズインナーマッスルのエクササイズストレッチを行い肩甲骨がよくうごくようにしておきましょう。
また、股関節、大腿前面、大腿後面のストレッチをしておくと障害防止になるうえ、パフォーマンスもアップします。今のうちからよくやっておきましょう。



毎日行うセルフチェックも重要です。
1日2回 練習前後に肩周りの圧痛をチェックしましょう。
もし圧痛がだんだんひどくなるときは、練習量を下げないと危険です。
もし圧痛がない場合、もしくはだんだん良くなる場合は練習量をあげても大丈夫です。
セルフチェックを行い、あなたにとって適正な練習メニューを組んでみましょう。
またセルフチェックを行うことで障害を早期に発見し、有病期間をできるかぎり短くしましょう。そうすれば、長い間野球を楽しめ、上手になっていきます。




目次へ    ホーム