コーチや選手のために
もし障害が発生したら
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痛くなったらなぜ休むの?



選手に障害が発生して病院にいくと、病院では「安静にしましょう」と言われます。
そこで選手はこういいます。
「医者に行っても「休め」しかいわれない!」
それではなぜ休む必要があるのでしょうか?

痛くてもがんばってしまうと体内ではタンパク分解ホルモンが産生されます。
このホルモンは血流にのって全身の筋肉に到達します。
すると根性だして一生懸命練習しているのに、練習すればするほど筋肉は萎縮し、筋力が低下するという奇妙な現象が起こります。
筋力が低下するとパフォーマンスは低下します。さらに復帰後に再発率も高くなります。
頑張れば頑張るほど、障害は進行しますから、有病期間はどんどん長くなり、再発率もどんどん高くなっていきます。

理論編でも述べたように、有病期間と再発率が高まるとチームの勝利に向かう力はどんどん衰退していきます。
「早めに休息をとって、早期に治療する。そして治癒したらまた思い切り練習する」
これが障害を克服し、チームを強くするのに最も重要です。

残念ながら発症した場合



医者から「安静にしなさい」といわれても、全ての練習を休む必要はありません。
基本的に休ませるのは患部だけで大丈夫です。
患部に負担がかからなければ(痛みがでなければ)他の練習を行っても大丈夫です。

投球ができなくなるのは残念ですが、気持ちを入れ替えこの機会に他のパフォーマンスをアップさせることに集中しましょう。
フィールディング、バッティング・・・野球には他にも多くの重要なパフォーマンスがあります。そうしたパフォーマンスをアップさせるような練習メニューを組んでみてください。
いまこそが、他のパフォーマンスを高めるチャンスが来たのかもしれません。
特にこうした時期に下肢から体幹の筋力アップを図ることは、今後の障害予防だけでなく、球速などのパフォーマンスアップにもつながります。
スクワットやランジ系の高重量、低回数のウェイトトレーニングも組み入れてみてはどうでしょうか?
プライオメトリクスなど瞬発系のトレーニングを組み入れてはどうでしょうか?

また今回の障害が起こる少し前になにか予兆はありませんでしたか?
もしこの予兆がわかれば、それは今後復帰した後に再発を防ぐ手がかりになるかもしれません。
今回障害がうまれたのは残念なことですが、もしここで障害の予兆を発見できれば、それはピークパフォーマンスにむけたコンディショニングの有力な武器になります。


回復してきたら セルフチェックが大切




ある一定期間患部を安静にすると、患部は回復してきます。
その後は再発を防ぐために、セルフチェックが大切です。
1日2回 練習前後に1分間のセルフチェックをしましょう。
セルフチェックで痛みがどんどん増えている場合は、練習量を落とす必要があります。
逆に痛みがどんどん減っている場合は徐々に練習量を上げていきましょう。

これが最も早く、最も安全に復帰させる方法になります。

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